2001/5  奥駈け路の釈迦ケ岳に参る        


中山 傳 : 上田 昌 : 崎田信義  

 
   2001年5月3日、4日と大峰山の奥駈路の中ほどにあると言う
 釈迦ケ岳へ、3人で登った。 ガイドブックを読んだだけでも奥深い
 場所に、1300年も昔から人が息遣いを残してきた事が推察できる。

  初日はどんより曇った空を眺めながら、車で169号線を南下する。
 奈良県は奥まで山が続き、谷間からは空が半分も見えない、川沿い
 に道がくねくね続き、三時間余りで林道の終点に到着した。

  途中で見えた滝に行くが近づくには深い谷底に下りる必要がある。
 時間のこともあり対岸から写真に収める。「不動七重滝」と言い雄大
 で水量も多いことが、500〜600メートル離れていても分かる。
  今夜泊まる宿坊の近くには「三重滝」があると言うので、其処も見
 に行く。 谷に降りる途中からシャクナゲの自生林が現われ、目を奪
 われて、ピンクのつぼみや満開の花房を堪能した。

(不動七重滝)

  翌日は晴天になり三人で釈迦を目指す。 小仲坊は1300年前に
 役行者(エンノギョウジャ)が大峰を開いた時の従者の末裔、五鬼助さん
 が運営(季節)する唯一の宿坊である。

  取付きは岩が多く急坂をゆっくり登る、2.5キロを2時間掛けて上がっ
 た。  途中からは大きな岩盤や大岩がそそり立ち、日本の山脈の
 粗姿を見せてくれる。 中央構造線(日本を東西に走る大断層)の直
 ぐ南にある事が実感できる。

  やがて修験者が奥駈けで歩いた従走路に出会った。「太古ノ辻」
 と言い低い笹に踏み跡が付き、何処からかほら貝の音がする。
 名前の通りの尾根辻で1300年も我々を待っていたのか、一休みする。
  目の前には「大日岳」が大きな岩を従えて建っている、高度1500m
 はあるが、地球の中までこの大岩が突き刺さっているのだろうか。

(太古辻)

(垂直の羅漢岩)

  一息して尾根を北に進み、笹に覆われた登山路の先に「釈迦ケ岳」
 の容姿が目に入る。有名な釈迦の銅像が遠目にも識別でき、やがて
 その足下に着いた。 20〜30の人でガヤガヤ、白い装束をまとった
 信仰者が一人やや迷惑気に座っている。

  5m程の銅像を一人の強力が麓から三体に分けて持ち上げたと言
 う。 我々は写真を撮り、水を飲んで30分間の足跡を残した。 試しに
 携帯電話をダイヤルしたら、話ができた。1800mの山頂から写真も
 伝送できそうだ、銅像を建てた強力が見たら何と言うか?

  「釈迦ケ岳」から昨年登った「八経ケ岳」や称山小屋が手近かに
 迫り,修験者が駈けた峰峰を眺望できた。 天候にも恵まれ素晴ら
 しい登山ができた。 (5:40小屋発、9:10山頂着)

(釈迦ケ岳の頂上)

  同じルートを下るが、無人小屋の側に「香精ノ水」と言う石清水があ
 り、ここで昼にした。30-40mの岩から染み出る水を溜めてあり、全く
 の天然水である、地中をくぐっていない為か味が少ない。 しかし高
 さ(約1500m)だけは得難い水と思い、2リッターを持ち帰る。

  再び「太古ノ辻」に戻り、更に続く南の奥駈け(熊野本宮迄は4-5泊)
 を垣間見るべく、側の山に立つ。またの機会にはここより訪ねたい。
 大峰の山々を点と点で繋ぐ四回目の奥駈けは無事に下山できた。
   アクセス: 阪神高速=柏原インター=国道309号=大淀町=国道169号
          下北山村:前鬼口=林道終点に駐車

   登山路: 林道終点→不動七重滝→小仲坊→三重滝→小仲坊(泊)
         →太古ノ辻→釈迦ケ岳→無人小屋(昼食)→蘇莫岳→
         太古ノ辻→小仲坊 (二日目は8時間10分の行程)

 

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