近畿最高峰 八経ヶ岳に立つ
2004/11/23 中村康之
(山頂パノラマ写真へ進む)
秋も深まり、初めての大峯山系の最高峰である八経ヶ岳に行って来ました。
日本百名山の一座でもあり、今年7月1日に『紀伊山地の霊場と参詣道』として世界遺産に登録された大峯奥駈道
に位置された近畿最高峰の八経ヶ岳(1914.9m)と弥山(1895m)に登山できる日を待ちに待っていた。
ここで大峯奥駈道を一寸解説しておく。
霊場「吉野・大峯」と「熊野三山」を結ぶ修験者の修行の道であり吉野山から大峰山寺、玉置神社を経て熊野本宮
大社間で約80kmの道のりである。経路の大半は標高千数百メートル級の山々を越える険しい起伏に富んだ尾根
道で、随所に行場が設けられている。また、所々に「仏教獄原始林」や「オオマヤマレンゲ自生地」のような天然林
も遺されている。伝説によれば、修験者の祖とされる役行者が8世紀初めに開いたとされ、これを踏破する奥駈は
修験道で最も重視される修行である。12世紀の史料によると、道の途中の行場で「宿」と呼ばれる信仰上の拠点
が約120ヵ所定められ、17世紀以後になると75ヵ所の「靡」に整理された。中でも冬ごもり行の洞窟として知られ
た「笙の窟」や、役行者修行の地と伝えられる「弥山」、山伏集落である「前鬼」は、特に重要な場所とされている。
修験者は奥駈をすることが義務づけられ、修行としての奥駈は回数を重ねることが重要とされていることから、
今日でも多くの修験者の団体が毎年奥駈を実施している。
仏経嶽原始林は大峰山脈の最高峰である仏経嶽(標高1914.9m)を中心とする約3qの尾根上に展開する
シラビソの自然林である。シラビソは紀伊山地を代表する常緑針葉樹で、広範囲に分布する森林のうちの約19ha
が天然記念物に指定されている。「大峯奥駈道」に接し、遅くとも15世紀末以来、修験者の行場である道沿いの
の樹木の伐採が禁止されてきたため、信仰に関連する文化的景観としての自然林が良好に保たれている。
オオヤマレンゲ自生地は、モクレン科の落葉低木であるオオヤマレンゲの分布地である。この植物は、「大峯に咲
く蓮に似た花」を命名の由来とし、修験の霊場大峯が開かれる初夏に美しい花を開くことから、別名「天女花」と呼
ばれて行者に愛でられてきた。仏経嶽原始林に代表されるシラビソ林の林床や林縁に大群落をなしており、
約108haが天然記念物に指定されている。
コース : 行者還トンネル西口→奥駈道出合 →弁天の森→聖宝の宿跡→弥山→八経ヶ岳(往復)
メンバー: S夫妻、Tさん(同僚)、本人
《7:30 大阪》
絶好の快晴である。あるツアー会社の企画に参加し総勢53人中型バス2台で柏原〜當麻〜大淀と抜けR169を
南下し目的地の奈良県上北山村、行者還トンネルへ向かった。今回は日没時間の関係でかなりの強行軍で休憩
時間は殆ど無いと聞いた。案の定昼食はバス移動中に済ませる次第であった。
八経ケ岳、弥山の景観図 ”出典元 ふうまさん”
コース縦断図 ”出典元 ふうまさん”
《11:25 行者還トンネル西口 標高1094m》
行者還トンネル到着11:15であったがすでに10台くらいが駐車していた。本来ならR309で直行出来きたはずで
あるが台風等で土砂崩れ通行止めとなり約30分大回りして到着した。通行止め解除は来年4月以降になるらしい。
11:25に出発し落葉した木々の間を縫うように木の根や岩に手を掛けながらかなりの急坂を登った。
閉ざされた行者還トンネル |
登山口 |
《12:15 奥駈道出合 標高1500m》
先導の若い添乗員が飛ばし過ぎ気味であったがコース一番の坂道(400m高低)を一気に駆け登り、明るく開けた奥駈道出
合に到着。約10分の休憩を取るがさほど疲労感も無く皆すこぶる元気である。春の新緑の時期とは異なり周囲の
景色を遮る木の葉も無く、すがすがしさを感じる。
登山口〜奥駈道出合 |
奥駈道出合にて |
《12:43 弁天の森 標高1600m》
標高1500mを過ぎると常緑樹も少なく尾根上に起伏の少ない整備された道が続き、落葉樹帯を軽やかな足取りで
進む。苔がじゅうたんのように敷き詰めらた生息域を通過し、大峰山系の自然はまだ100%だと痛感する。
右手の木々の間から大台ヶ原を見ながら弁天の森に到着。黄色でよく目立つ大峯奥駈道の道標である。
今年7月に世界遺産となった。
奥駈道出合〜弁天の森 |
弁天の森 |
《13:03 聖宝の宿跡 標高1560m》
見通しの利く尾根道が続くが概ね下り道であったので唯一楽な区間であった。先に述べた「宿」に到着した。
理源大師像が迎入れくれた。
弁天の森〜聖宝の宿跡 |
聖宝の宿跡 |
稲村ケ岳、山上ケ岳 |
《13:35 弥山 標高1895m》
聖宝八丁はかなり整備され木製階段が続き、標高1700mになると今年の残雪が所々見られた。
弥山までは胸突き八丁の登りと言われているだけにさすがに足が上がりにくいが、前方に稲村ヶ岳、山上ヶ岳
の勇姿が現れ、よし行くぞと気合いを入れて登った。
約30分ほど登ると弥山小屋到着であった。高床式?の発電機小屋は印象深く、吉野熊野国立公園とある。
弥山小屋はシーズンオフなのか本日は休業であった。
弥山まで来るとさすがに疲労感を感じ、やれやれでした。ちょっと参った様子です。
整備された木製階段が続く |
弥山小屋 |
弥山 |
天河神社奥宮前にて(弥山山頂1895m) |
《14:25 八経ヶ岳 標高1914.9m》
弥山小屋から八経ヶ岳までは下り10分、上り20分の距離である。ガレ坂を下ると最後の上りである。
このあたりはオオヤマレンゲの自生地で鹿避けのネットが張られて保護され、扉を開けてくぐり抜ける事4回、
ようやく八経ヶ岳山頂に着いた。
ついにやった!! 近畿最高峰登頂。
吉野熊野国立公園、日本百名山、大峰 近畿最高峰 八経ヶ岳(八剣山、仏教ヶ岳)、1914.9mの看板が立つ。
約10畳?ほどの狭いスペースで今回同行したメンバーと記念写真を撮る。
皆交代で記念写真を取っている。日差しがきつい為、なぜか夕方のような気配であった。
晴天極まりなくブルーの空が続く。やはり天気のいい日は空の青さが違うと痛感した。
360°展望が利き眼下に見渡す山々が一望出来た。幸運である。
北東に山上ヶ岳、大普賢岳、小普賢岳、東に大台ヶ原、南に仏生ヶ岳、釈迦ヶ岳、大日岳?が確認出来た。
残念ながら稲村ヶ岳は弥山の陰で見えないが近畿最高峰を踏破した達成感がしみじみと湧いてくる。
他のメンバーも同様に感じていると察する。
約15分の滞在時間で後ろ髪を引かれる思いで下山する。
今回は、その姿を見られなかったが、標高1900mまで登って来ないと会えない幻の花(オオヤマレンゲ)を必ず
見に来ようと誓った。
今回お逢い出来なかったオオヤマレンゲ”出典元らいちさん” 深山の貴婦人とも天女の花とも呼ばれている |
八経ケ岳にて(S夫妻とTさん) |
下山時の八経谷付近 |
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山頂より大普賢岳、小普賢岳、日本岳を望む |
山頂より仏生ヶ岳、釈迦ヶ岳を望む |
弥山小屋で約10分程の最終休憩を取り下山する事になった。日暮れが迫っているので皆ハイペースである。
弥山小屋(15:15 標高1895m) | 聖宝の宿跡(15:54 標高1560m) | 弁天の森(16:21 標高1600m) | ||
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登山口(17:25 標高1094m) | 奥駈道出合(16:35 標高1500m) |
奥駈道出合からの下りは思った以上に急坂であって危険さをも感じるほどの急勾配であった。
ステッキ使用の人、木株を持ちながら下る人等皆慎重に確実に一歩一歩足を運ん下りた。
ちょうど6時間の行程で周りは若干の月明かりで判断出来る程であって、到着時はもう真っ暗であった
《20:45 大阪着 》
行者還トンネルを17:40に出発し一路大阪へ向かう。途中一度道の駅に寄るが南阪奈道路、近畿自動車道、
阪神高速道路を乗り継いだ。車中、皆、充実仕切った顔で笑みを浮かべながら話に盛り上がっていた。
今回、登山の段取りをしてくれたTさん並びに助言・同行していただいたS夫妻に心から感謝する。
お疲れさまでした。来年も必ず行きましょう!!
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