夜叉が池、三周ヶ岳

 
2006/8/14                                                中村康之
 
   盆休みの猛暑の中、福井県と岐阜県の県境にある夜叉が池・三周ヶ岳の山行を行ないました。
 自宅のある大阪から集合場所である滋賀県大津駅を経由し、名神・北陸自動車道をひたすら走り続け
 敦賀の先の今庄に向かった。約30分地道を走り登山口のある広野ダム登山口に到着したのは3時間
 半後の9:30だった。 登山口としては福井県側の今庄と岐阜県側の坂内村より登れるが今回は今庄
 より登山した。

 
池の伝説『夜叉が池の大蛇』の紹介
  昔、越前国南条郡池の上に弥兵次という豪農がすんでいました。ある年の干ばつに弥兵次は耐えかね、
  池の主の大蛇に「水を田に入れてくれるなら私の娘を嫁にあげよう」と頼み大蛇もこれを承諾しました。
  すると次の日、田に水が入り、作物は活気を取り戻し,弥兵次は大いに喜びました。しかし,約束を考え
  ると弥兵次は悩み苦しみ,仕方なく愛娘の一人を嫁に出しました。
  娘は蛇体となり、大蛇はそれを伴って夜叉ヶ池に入りました。のちに娘の女蛇は龍神となり、干ばつの
  年には雨を降らすと云われ、夜叉ヶ池は龍の住む神秘の池となっています。
                               ――― 今庄町商工会のホームページより ―――
 
  コース図の番号と照らし合わせて併せてご覧になってください。

 
コース : 広野ダム登山口→夜叉が池(1,100m)→ピーク→三周ヶ岳(1,292m) 《往復》
 
歩行数 : 20,000歩
 
距離  : 約15km
 
タイム : 9:40→17:30(7時間50分)
 

コース図

 

@駐車場入口のかつらの木 A濃紫色のイワタバコ

9:40、出発である。駐車場の左脇には大きな「かつらの木」があり一際目立っている。長年にわたって我々登山者を迎入れ見守る
かのように居座っている。沢沿いに木陰の山道を徐々に進んでいくが傍らには濃紫色のイワタバコが花を咲かせ季節感を感じられた。

 

B夜叉が滝 C樹齢300年のトチノキ

約30分程で夜叉が滝と呼ばれる箇所にたどり着きマイナスイオン一杯を感じる。沢道終点では「森の巨人たち100選」と記された
樹齢300年のトチノキに出会った。

 

 

D深緑の間をぬって E標高800m付近の急坂

沢道から一変して急な坂路に移っていくが周りの木々が日光を遮ってくれるため爽快な足運びとなった。
池まで途中、標高800m付近で小休止を取り水分補給する。それにしても風が無く蒸し暑い一日であった。

 

 

F夜叉が池(標高1,100m)

11:40、出発から2時間で伝説の池に到着することが出来た。第一印象、静穏した所である。透明度の高く綺麗な水であった。
また、驚いた事には池底は砂層であり水の保留性等を考えると不思議な池である。

 

 

夜叉が池ゲンゴロウ 山頂直前の尾根道

この池には「夜叉が池ゲンゴロウ」という固有の生態が生息し保護を受けている。あいにくその姿を見る事は出来無かったが県の
保護林である為、当日は環視員が見張っていた。話しを聞くとシーズン中は毎日福井県、岐阜県から交代で来るそうそうである。
いつまでも残しておきたい自然環境である。

 

 

G分岐点の道標 H第1ピークより背面を望む

夜叉が池を12:50に出発し最終目的地の三周ヶ岳へ向かう。途中2箇所1200mピークがあり約200mのアップダウンを
繰り返して進む。振り返ると反対方向の夜叉が池山までの稜線がはっきりと判る。

 

 

I第1ピーク登坂

J第1ピーク下り坂より三周ヶ岳を望む

第1ピークの登坂は昼食後すぐのため体に堪える登りであった。ピーク頂上に着くと正面に
最後尾の目指す三周ヶ岳が目に入った。
もう一つピークを超えて行かねばならないが暑さの為、体力消耗に比例して遙か向こうに
あるように錯覚する。

 

K三周ヶ岳(1,292m)にて

L深いササが続く登山道

夜叉が池より1時間20分かかり14:10、三周ヶ岳登頂である。肌に突き刺すような日差し
と無風であったため予想以上に時間がかかった。おまけに第2ピークからは背丈ほどある
ササが生い茂りヤブコギの連続で進路を阻まれ四苦八苦であった。
6畳位のスペースには三等三角点があり、周りを見渡すが低木樹が邪魔になり視界が遮
られた。冬の晴れた日には『白山』も見えると聞くが当日は残念ながら姿は見えなかった。
しばしの休憩を取り夜叉が池に戻ることなった。

 

M下山での夜叉が池全貌 N下山し安堵

山頂からの下山は登りと同等の時間がかり、夜叉が池に戻る頃は陽も傾きかけた16:00であった。下り坂道から見る夜叉が池は
まるで鏡の様で湖面にはどんよりとした雲の姿が映り、なんとも妖艶な趣があり池の伝説が納得出来きる思いであった。
登山口到着が日没近くなると予想されるので早々に池を出発し下る事にした。17:30日没間際の到着でであった。