かたむきやま |
傾 山 |
2012/9/27 崎田信義
(宮崎市、大分市から) 国道10(326)〜502号〜県道7号〜豊後大野市上畑に前泊 | |
傾山 1605m、 後傾山 約1540m | |
登山口まで車→コース分岐→観音滝上→三ツ尾→水場→山頂→分岐 →後傾山→センゲン尾根→九折越→急坂→カンカケ谷渡渉→登山口 |
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つづら越小屋(無人) 民宿;ふもと、安藤など | |
登山口 7:20発(歩140分+休20)三ツ尾(30)三ツ坊主分岐(30+10)水場(40)坊主合流(30+10)山頂・ 休憩30分(歩90分+休10)九折越(80)カンカケ谷川出合(80)17:20着 Σ歩8:40+休1:20=10時間 |
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(注) パソコン画面を125%に拡大して見ると文字、画像もジャストフィットします |
双耳峰の傾山
祖母・傾 国定公園に入る山塊はアプローチも長く、尾根が複雑に入り組んでいて、国土 地理院の図面からも窺がえる。傾山へのルートは宮崎県がわから2ルート、大分県がわか ら4ルートほどある。 山名の由来は知らないが、遠くからは小首を傾けたように見えるの で、直ぐに判る。山頂は岩峰の双耳峰で西には垂直な断崖が人を拒んでいる。 北にも三ツ坊主と呼ぶ岩峰が連なり、険しい行程になる。関西の山で言えば大台ケ原の 大蛇ー・ダイジャグラが3ッ、4ッ連なった如き山容だ。 下から見上げても威容が分かる。 初めての山塊に入り8時間半の予定で慎重に登った。 予定した三ツ坊主の登りは避け 水場ルートを進んだ。前日の好天が去って曇天、ガスもかかり、眺望には恵まれなかった が、この岩峰の凄みには圧倒された。 Note:平成16年11月に山頂は以前よりも3m高い標高に訂正された |
<三ツ尾ルート;西〜東> 今回は大分県豊後大野市の山奥にある鉱山跡の登山口から入る事にした。有名な原尻 の滝を分岐に県道7号を進むと、祖母山の麓との分かれ道に至る。上畑と言う集落には数 軒の民宿があり、前泊して入山した。 林道奥に鉱山跡から流れる水の有害成分を除去する施設があり、駐車場、トイレもある。 単独行動では歩行と休憩の時間配分を一定にし、無理に急がないように歩く事にしている。 この日は1時間歩き、10分休憩のペースだ。 施設の先には鉄の橋やコンクリートの水路もあり、その途中に分岐の標があった。上りに 予定した三ツ尾方面に進む。下山したらこの分岐に戻るはずだ。 橋を渡り、岩径に入ると三ツ尾ルートだ。ほどなく落差の大きい観音滝が見えてくる。更に 進むと滝の上の川を渡渉することになる。 ここで靴が濡れないようにくの字に足を岩に乗 せたが、この一歩が後日膝の痛む要因になる。 細い林道と交差して、尾根に取り付いた。長い長い行程になり、2時間強で三ツ尾分岐に 至った。大白谷コースとの合流地点だ。休憩するも曇天下では眺望も出来なくなった。 |
原尻の滝 |
登山口と鉱山跡の処理施設 |
コース分岐(九折越・上畑ルートからここへ戻る) |
観音滝は落差75m |
観音滝の上を渡渉 (滑りやすい岩肌) |
三ツ尾 (大白谷ルート分岐) |
<水場ルート;北〜南> 分岐を過ごして南下、目の前に大きな峰が現れる。この先が三ツ坊主の岩場らしい、ガス が覆い、眺望も期待できない天候、時間からはより安全な水場ルートを進む事にする。分岐 点には危険だよとの注意書き、内心を覗かれた感じだ。 大きな岩、コケの岩、倒木を何度も過ごし、谷川に着いた。水量は少ないが、そこから細い 流れに沿って上ると標識に水場とある。テープを頼りに上がると上の方から人の声、入山後 人の気配は初めてだ。 暫らくして後から声が掛かった、地元のグループが径や標の保守に 登山して来たとの事、程なく三ツ坊主ルートと合流した。 聞けば目の前のP1560をクリアーした先が山頂だと言う。 ピークからはハラッとする急坂、 ガスが断崖を遮り絵になる光景だが、鞍部に下りても山頂は見えない。 主峰を取り巻く岩 にはロープがあるが、難路が続く。 |
三ツ坊主分岐 (岩峰が連続するルート) |
水場の標識 |
尾根に上がり三ツ坊主ルートに合流 |
山頂下の鞍部にはガスが沸く |
<山頂〜九折越;南〜西> 漸く山頂下の分岐点へと届く、東のソデ尾〜東傾山へのル−トらしい。 最後の大岩を抜 けると三角点の標識、登山口から5時間も経過していた。頂きは想像よりも広く茶色の角ば った岩がバランス良く並んでいる。外れた処に石の祠も建っている。地元からの人達が昼食 中、自分もサッと腹ごしらえた。下りの行程を考えるとゆくりもできず、おまけに周囲はガスで 祖母や大崩の山並みも全く見えない30分だった。(13時8分下山開始) 先ほどの分岐点へ戻り、右の九折越・ツヅラゴエ方面へ急坂を下る。鞍部から宮崎県側に 分岐コース、更に右へと登り返し、後傾のピークを回り込む。 200m程下ると緩いセンゲン 尾根に至る。朝から気の抜けない山径が続いたが、ガスも途切れて初めてリラックスできた。 尾根で作業中の人に出遭う。 聞けば鹿除けのネットを張ると言う、こんな県境の尾根で と感心したが、鹿の習性を利用しての防御なのだろう。資材はヘリで九折越の峠に降ろした とか、二人も一緒なのか聞きもらした。 やがて祖母山への縦走路と大分・宮崎からのルートが交差する広い峠に出た。平で300 坪くらいあろうか、何と一面がコスギゴケ(ヒノキコケ?)で覆われているのだ。この様な山稜 では初めての光景だった。 昼寝でもしていたいが、下りの難路があるので写真だけ撮って 最終のルートへと急いだ。 |
山頂の標識は1602mのまま |
山頂の大岩 3m程度 |
後傾のピーク |
三ツ坊主遠望 |
苔が覆う天空の庭園! 九折越 (1300m付近) |
九折越の交差点(左宮崎、右大分、奥が祖母山方面) |
主峰を遠望 |
<上畑ルート;西〜北> 民宿の主人から、カンカケ谷に降りる径は急落で危険だとアドバイスを聞いた。山地図 では登山口まで2時間とあるが、ここまでの経過を計るとそれ以上に掛かりそうだ。日も 傾いてきたので、迷わずに辿れば5時頃には下山できると推測できる。 ジグザグ径を下り始めると、縦走路とは違って細く、テープなども少なくなる。 頼るの は踏み跡だがはっきりしない処もある。40分くらいで林道と交差する処に出る、今朝の 林道の先端らしいが荒れている。 交差点を過ごすといきなり急落箇所だ、ロープなどもあるがかなり古そうだ。鉄梯子も 曲っている、傾斜も60度くらいありそうだ。何度も急坂を下ると、谷川へ着いた。ここが カンカケ谷の流れで下流は九折川になる。 今度は川沿いに渡渉が始まる、幅は100メートル位だが大岩や流木もあり、ワイルド な姿だ。澄んだ水をボトルに詰めて準備満タンにした。赤いテープを探して3,4回ほど 対岸へ渡渉し、漸く左岸を下る径になった。4時頃を過ぎたら光が薄くなるが上を望めば 山肌には残照もある。 標高を記載した標が100メートル単位で建ち、迷わない配慮は有り難い。複雑に入り 組んだ山肌から九折川へと注ぐ小さな谷が連続する。径もつづら折り状態で、何度も同 じような行程、小谷をトラバースする。標高400辺りには古い坑道みたいな窪みもある。 やがて朝方に見た景色や廃坑からの放水路も目に入り、安堵する。 予定時間を超え て10時間で登山口に戻り、緊張が解けた。 地図上では四角形に巡る今回のルートは 自然のままの難路が連続する大きな山塊だった。 |
上畑ルートと林道が交差 |
カンカケ谷への急坂 |
川沿いの難路に標高の標が建つ |
小谷を何度もトラバース |
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