2015/8/6〜9 8人パーティー(崎田・記)
針ノ木雪渓
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北アルプスの白馬から槍・穂高まで連なる峰には沢山の名峰がある。 その中間に位置する
針ノ木岳・蓮華岳を目指して大町市扇沢の柏原新道から周回ルートを辿った。
針ノ木峠は戦国時代の武将・佐々成政が、越中から浜松の家康に再挙を促すために厳冬の
立山山系を自ら越えようとして、ほぼ全員が雪に埋もれたとの伝承がある。
(さらさら越え)
歴史的にも要衝だった処だ。
幸いにも3日連続の快晴に恵まれ、北アルプスの名峰を全て遠望する事ができた。最終日は
アルプス三大雪渓の一つ、針ノ木雪渓の涼やかな冷気に押され快適な下山となった。
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登山口から見る針ノ木岳(奥左)スバリ岳(中央)赤沢岳(右)
<尾根へ上る>
台風13号も逸れて、天候もよく過去の夏山で一番の北アルプス大展望が
堪能できた。 扇沢から種池小屋を経由し針ノ木大雪渓を下る周回ルートは
アップダウンが続き、岩が重なる登り坂など予想以上の厳しい径があった。
参加者全員、事故もなく完踏でき、例会の集大成を果たせた。
初日は高速バス、JRを乗り継ぎ大町市の温泉郷で英気を養った。昭和30
年代に数キロ離れた葛温泉から、お湯を引いて別荘地や街ができたそうだ。
翌日はタクシーで柏原新道登山口に向う、鹿島槍ケ岳や爺ケ岳のルートに
もなる径だ。 久しぶりに重いザックを担ぎ、足元が怪しい。 初めの急登を
越すと身体も慣れてくるが、ペースは上がらない。鉄砲坂と云う最後の急登
を詰めて漸く種池小屋に着いた。上りだけで4時間強の行程、標高差1100m、
山体の大きさが解かる。冷たいコーラや昼食を摂って泊り予定の小屋へ向う。
お釜の縁を周回するようなルートで、初めは西へと進む。時折ガスが掛か
るが下山予定の扇沢トロリーバスターミナルも見える。 大小の雪渓も見え、
高山植物の花が咲き乱れる尾根は清清しい。
標高2500〜2600mの尾根だがアップダウンも2度、3度続く。 漸く岩小屋
沢岳の標識2630mに出合い、山荘も近くなるが下っても山荘は見えず、更に
小さなコブを越えると新越山荘へ届いた。 午後の歩行は3時間弱、出発して
7時間40分の行程となった。
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柏原新道登山口(by
HS)
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柏原新道・ケルンまで80分
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種池山荘
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尾根筋は高山植物満開
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最初のピーク・岩小屋沢岳
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新越山荘に泊る
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夕闇迫る蓮華岳・針ノ木岳(右奥)/rollover 朝焼けの剣岳
<尾根を周回>
山小屋の朝は西隣りの立山・剣岳に朝日が当り、残雪とのコントラストが
映える。5時40分には出発し、直ぐに鳴沢岳に取り付く。朝もやも消え、北か
ら白馬岳、朝日岳などが連なって五竜岳、鹿島槍ケ岳など等特徴のある稜
線が聳える。 南にはこれから登る赤沢岳、スバリ岳、針ノ木岳等が連なり、
遠くには槍の尖峰も遠望できる。大パノラマに嘆息するのみだ..。
ハイマツの緑も濃く、岩径が緩やかな稜線を描き、行く手に大きな赤沢岳
が現れる。眼下には黒部ダム湖、エメラルド色の湖面が山間にアクセントを
付けている。
遠目には雄大な山も近づいてくると屹立した大岩、ジグザグの石径と難路
に取り付くことになる。ハイマツの脇を辿るにも力が入る。 山頂の標は2678
米、三角点も写す。 小屋から2時間強、ほぼ標準タイムだが、次の山頂の
スバリ岳は大きな山腹が見えるが、2時間強かかるそうだ。
約200mほど鞍部へと下り、砂礫の径を上がる。地図では大沢小屋の真西だ、
痩せ尾根の東にはガレや雪渓がパックリと裾を引く。 頂上は鮮明に見えるが
勾配以上に足が重くなる。何度も休憩をして漸くとスバリ岳2752mに届いた。
予定よりも時間がかかり、2時間40分かかった。地図情報を越える大きな岩峰
で、背景には立山連峰、黒部ダム湖が晴天を演出してるかの様だ。
早めの昼食だが、当方は体調不良で弁当も喉を通らない、水分を補給して
本命の針ノ木岳へと向う。
岩径を下り、150mほど登り返し、夏山の目的地・針ノ木岳に届いた。直射
日光も強く、晴れ渡った山頂で集合写真に納まる。 南には槍や穂高が遠望
できて、言葉にならない光景だ。 向きが変わり東へ下ると、一時間ほどで
小屋に着いた。(13:05)峠にもなり、扇沢、船窪岳と蓮華岳の四差路だ。
女性陣四名は更に蓮華岳へと暑い中を二時間弱でピストン、この日一番の
パワー発揮でした。
針ノ木小屋は収容人数が100名だそうで、この日はほぼ満員、夕食も三回転
する。 相部屋は2畳程のフトンに3人が並ぶ、前日の新越山荘は一室貸切で
余裕があった。それでも疲れを取るには十分だ。 夕闇が迫るまでビール片手
にアルプスを観ながら寛ぐ人が大勢だった。
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赤沢岳
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黒部湖
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鳴沢岳の西隣りに立山・雄山や大汝山、御前沢雪渓(日本3氷河の一つ)は圧巻
鳴沢岳から南へ続く針ノ木岳の尾根、槍の尖峰も遠望
北の白馬から唐松、五竜、双耳峰の鹿島槍まで一望
(手前はスバリ岳、赤沢岳)
スバリ岳・岩峰の北面は圧巻
スバリ岳・眼下に黒部湖
針ノ木岳・南に烏帽子岳〜槍穂高を遠望
<雪渓を下る>
最終日は雪渓を歩き、扇沢のバスターミナル口に下る予定で出発する。更に
松本から帰阪するので、ゆっくりも出来ない。 朝の食事に一番のりで、6時に
峠を下り始めた。ジグザグの脆い山腹を進み、雪渓の上端部に着く。アイゼン
を装着して、ゆっくりと歩を進め、慣れたらスピードも出る。
下りの雪渓は後方から涼風が当り、何とも気持ちが良い。 夏でも溶けない
雪面には黒い雪肌や落石も散見できるが、約50分で山径になり、装備を外し
て谷の脇を下る。
石ころ路は想定よりも悪路で、予定の4時間が気になる。やがて大沢小屋に
着きひと休みする。更に難路が続くが、舗装道路と三回ほど交差してトロリー
バスの道路脇に出た。立山・黒部の観光ルートになるが、ゲートを潜ると扇沢
駅に着いた。予定した時間に全行程を踏破、互いの健闘にハイタッチ。(9:50)
タクシーで薬師の湯に向い、JR大糸線に乗って松本駅前から再び高速バス
で帰阪した。参加各位には事故や怪我もなく協力に感謝する次第です。(崎田)
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針ノ木峠から槍を遠望
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針ノ木小屋
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扇沢・針ノ木自然遊歩道口に下山
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扇沢バスターミナル駅
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<概略図>
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