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2002okugake1             奥駈・南奥駈縦走

            (靡75番から1番へ)

                               平成14年4月27日〜5月4日

                               単独行

 

芦屋川上流に猪がいるとの新聞記事を見て、運動靴に小さなリュックで猪を見たさ
に出かけたのが山歩きのきっかけでした。        
この時、出会った人に後日山上ガ岳へ連れて行っていただき、奥駈を知ることにな
りました。              
山上ガ岳は、私にとって山らしい山というイメージで強烈な印象でした。  
この経験で、いつか奥駈と言われる道を行ってみたいと思うようになりました。
                 
ガイドブックによれば、吉野駅からケーブル、竹林院まで歩き、そこからバスで奥
の千本、そして奥駈コースへとなっていますが、目的地の熊野本宮が靡1番、柳ノ
宿が靡75番との説明も併記されています。        
そこで、逆峯と言われるルートなら、靡75番から歩いてみようと計画しました。

 

記録

4月27日(土) 曇

近鉄あべの橋6時18分発吉野行準急          
7時54分六田駅着            
構内で済ますべきものを済ませ、柳ノ宿へ。        
晴天なら、ここで川に入り水垢離の予定であった。      
残念ながら(幸運?)曇天につき、手を洗い禊とし、私の入山の儀式とした。  
ストレッチを済ませ、8時25分柳ノ宿発。        
いよいよ出発。先は長い、最初の15分はゆっくり歩きウォーミングアップ。  
吉野神宮・蔵王堂を参詣。この山行の無事を祈願。吉野山交番へ登山届けを提出。
(留守なので郵便受けに入れ、向かいの店の人に伝言を依頼)    
次に、酒屋さんで、ウイスキー(180ml)を購入。賽銭用の両替をする。  
竹林院バス停前の店でブランチ(親子丼)。        
金峯山寺から青根ケ峯、舗装林道へ出て大峯登山口。ここでコンパスセット。  
本日宿泊予定の百丁茶屋跡二蔵小屋へ。        
五十丁茶屋跡・新茶屋跡、この後足摺茶屋まで悪路。      
15時25分百丁茶屋跡二蔵小屋着。          
奈良市立南都中学山岳部の6人(引率教師2名含む)が先着していた。  
寝られるだろうかと思ったが、中学生が中2階で寝るということで場所確保。  
1階は、6人で一杯。中2階には毛布が沢山有り、2〜3人くらいは寝ることがで
きる。内部は整理され、よく使用されている様子。屋外に簡易トイレもある。  
すぐに水を汲みに行く。小屋から南へ向き左手祠の横に水場まで10分の標識があ
る。                
8分で水場着。直径10cmくらいの塩ビパイプで導水し、風呂桶で受けてある。
水は、ボールペンよりやや太いくらいの量。2日前雨が降った(吉野の酒屋で聞い
た)にしては、少ないと思った。夏場は枯れないのだろうか。    
小屋前広場で後着の人がテントを張り始める。        
見学した。とても簡単。40歳台と思われる。やはり、熊野本宮までの計画とのこ
と。夕食の支度をしながら山談義。          
こちらは、無人小屋で食事を作り泊まり歩くという経験は初めて。    
テントの人の食事は何を食べるのか、どんな道具を持っているのかを知りたい。サ
ラミソーセジと細長いソーセジがメーンディッシュのようである。    
こちらは、アルファ米・魚の缶詰・のり・とろろこんぶ・小さいカップうどん  
フリーズドライの野菜入りスープと一応栄養価を考えたつもりのメニュー。  
中学生達は、豪華にすき焼き、おまけにうどんで仕上げ。      
いい匂い。たまらない。            
ウイスキーを飲んで寝る。            

 

                       (柳の宿跡)

 

4月28日(日) 雨

7時25分発              
レインウエア着用。            
大天井へは行かず、奥駈道を行く。          
五番関までの間に2箇所の沢があり水は豊富。        
蛇腹の鎖場を経て洞辻茶屋。無人だが茶屋の中が山上ガ岳への通路となっている。
床机で休憩し昼食。大峰参りの人達と「ようおまいり」と挨拶を交わす。  
12時03分出発              
小笹ノ宿小屋は小さいから、昨日のように人が来ていたら大変だな、と思いながら
鐘掛岩、等覚門、西の覗へ。            
初めて山上が岳へ連れてきていただいた時、覗きの修行をした。    
修行代500円、係りの人に、覗きは鉢巻をしてするものだと言われ、鉢巻代50
0円、締めて1000円のにわか修行をした。どんな順番にしたかも鮮明に記憶し
ている。私にとって大切な思い出である。        
龍泉寺宿坊。ちょっと中をのぞくとお膳が積み上げられ、何人もの人が忙しそうで
あった。5月3日が開山と聞いていたが、もう準備が始まっている様子。  
宿坊群を見ながら大峯山寺へ、誰もいない。本堂も閉められたままだがお参りをし
て、隣の祠にお賽銭をあげ、ここまで無事に来られたことを感謝し、これからの無
事を祈願。              
13時15分小笹ノ宿へ向け出発。          
13時58分小笹ノ宿着。            
少しして2人組みが到着。テントを張ると言うので安心。      
小屋は狭く、ぎゅうぎゅうに詰めて4人、大きなベニヤ板が立てかけてあり、はみ
出したら土間にこの板を敷いて寝るのかなと思った。      
水は、豊富で年中涸れないと思われる。        
テントの2人が宴会を始めた模様。21時頃まで大声で歌ったりおしゃべりでこち
らも寝られない。              
ようやく静かになり始めると、大きな鼾。小屋まで少し距離があるのに、周りが静
かだとこんなに聞こえるものかとびっくりした。        
ウイスキーを少し飲んで寝る。          
                 

  

                        (鐘掛岩)

 

4月29日(月) 雨

             
6時25分発。              
今日から、いよいよ厳しいコース。          
相変わらず、ザックは重い。家を出る時、20.6kgあった。2日分の食料が減
っただけ。              
阿弥陀が森7時03分発。            
営管の行場7時58分通過。            
ここで、外人3人組がテントをたたんでおり挨拶をかわす。    
小普賢・和佐又への分岐を過ぎる。          
大普賢は右に巻き道、左上へ上がると頂上。頂上で小休止。雨と霧で何も見えない。
8時40分発。              
ここから行者還までは、急坂の上り下り・鎖・アングル・はしごとガイドブックの
とおり次々に出てくる。            
途中、国見岳で外人の3人組が先着している。追い越された覚えは無いのだが。
聞いてみると、大普賢の巻き道を来たらしい。やはり、頂上への道が分かりにくか
ったのだと思う。私も、事前のネットで見たメモに、巻き道もあるが頂上へ登ろう
とあったので分かったが、歩いて来た勢いだと、左上方の標識に気づかず巻き道へ
入ったかもしれない。            
ここで3人組に、水場を聞かれ、行者還の水場を教える。リーダーは日本語が上手
である。                
10時45分七曜岳着。            
年配の3人組が休憩中。写真を撮っていただく。        
和佐又から来て、大普賢経由無双洞回りで和佐又へ帰られるとのこと。雨で滑りや
すいので大変だと思う。自分も気をつけなくてはと気を引き締める。    
行者還の雫水へ来ると、外人3人組が水を汲んでいた。私も水を補給。  
雨なのに意外と水量が少ない。夏場は涸れているかもしれない。    
ここで、コーヒーをご馳走になる。こちらも乾燥果物をプレゼント。    
彼らは、前鬼まで行くと言う。今日の幕営地は何所が良いかを聞くので、弥山小屋
の広場を教える。              
彼らはまたコーヒーを沸かし始める。もう一杯どうかと聞いてくれるが、長時間の
休憩は差し支える。12時45分出発。        
一ノ垰通過14時09分。小屋は半分朽ちている。大きく右へカーブして天ガ瀬へ
の分岐を過ぎ、西へ。            
予定より相当遅れている。でもスピードは上がらない。かえって遅くなり始めてい
る。                
大普賢から行者還までに相当スタミナを使ってしまった。      
弥山小屋の夕食は17時から、それまでに到着するよう小屋の人に言われているの
だが、とても間に合いそうにはない。          
行者還トンネル西口分岐で小休止。          
石休の宿で小休止。            
弁天の森で小休止。            
聖宝の宿で小休止。ここで、後から来た若い人に聞いてみると、外人3人が一ノ垰
で休憩していたとのこと。            
先に来ている私の位置と時刻(16時06分)から見て、今日は一ノ垰でテントを
張るのかな、水は、弥山と八経ガ岳との鞍部にあると言っておいたが、ちょっと心
配。                
でも、自分も大変。最後の胸突き八丁を休み休み、喘ぎながら弥山小屋へ到着17
時40分。              
小屋の人に、堀下さんですね、といきなり名前を呼ばれてうれしいような気分にな
った途端、みなさん食事は終わられていますのでと言われてしまった。  
一人寂しく食事。電話を借りて家と友人に無事到着報告。      
ここの電話は無線電話で長時間独占できない。        
翌日の準備をしている時もテントの人が入れ替わり何人も水をもらいに来た。  
各自の水筒一本100円だった。          
今日は、11時間15分もかかった。小屋の人に、小笹からこの時間では、明日は
早く出発しなさい、と助言されてしまった。        
コースタイムは7時間20分。休憩抜きの時間とはいえ、少しかかり過ぎである。
雨風がひどくなってきている。明日は、朝ご飯を小屋で食べてから出かけよう。雨
の中、弁当をひろげる場所が無い。          
就寝。しばらくすると電話ですよと起こしに来た。      
友人からの激励電話。うれしくて、ウイスキーを少し飲んだ。    

                        (弁天ノ森)

 

4月30日(火) 雨

             
7時00分発              
朝食時、近くに新しい小屋が出来たと話しているのを耳にした。    
小屋が出来たのか、食事付きであれば今回の予定も少し変わったかもしれない、よ
く調べればよかった。とその時思ったが、今思い返すと判断力が鈍り始めていたよ
うに思う。              
7時32分八経ガ岳。            
9時50分舟ノ垰。            
10時30分楊枝ガ宿避難小屋。左下の小さな台地にある。    
新しい小屋とはここのことであった。          
ログハウス。すばらしく立派で頑丈な小屋だ。        
この雨の中、ここしかないと思い、早めの昼食。        
たっぷり休憩。              
ガイドブックでは朽ち果てて使えない、とあった。私のガイドブックは少し前のだ
から、帰ったら最新のを見ようと思ったまま、未だ見ていない。    
12時55分孔雀岳。            
鳥の水は分からなかった。周囲は雨と霧で見通しが悪く、注意力も落ちてきている。
滑らないよう、転ばないようにと下ばかり見ていたからだろうか。    
13時30分 椽の鼻。            
今回の山行で一番「怖い」と思った所。        
1間〜1間半もあっただろうか。左の岩壁の下に石像と碑伝、右端は30〜40c
m幅の踏み跡、その右は断崖絶壁、霧で底が見えない。      
左の岩壁から右の踏み跡まで一枚岩の逆バンク。つまり、崖下へ向かって幅の広い
滑り台がついている所を横切ることになる。しかも、踏み跡は、3mくらい真っ直
ぐ進むと直角に左折している。その先は、左の岩壁でよく見えない。    
この雨風の中、この荷物で断崖絶壁の端をバランスを崩さずに歩けるだろうか。こ
こまで来て、引き返せない。            
ここは、いろいろな人が通っている筈だ。一枚岩の角度はそんなにきつくはない、
今日は条件が悪いだけだ、と自分に言い聞かせて、岩壁の少しの窪み出っ張りを頼
りに一枚岩の上を進み始める。          
3歩目で、右足がズルッ〜ドキッ!で渡り終える。      
振り返ることなく下りの鎖を握っていた。        
14時33分 釈迦ガ岳            
14時46分 千丈平への分岐通過          
極楽の都津門は分からなかった。          
15時25分 深仙ノ宿着。            
すでに2人組みが到着していた。          
ザックを下ろし、香精水を汲みに行く。小屋から北に向かい右斜め方向にある。
これまでに見た水場を想像していたが、全然違った。      
絶壁の一番下からわずかに染み出る水が岩を伝ってポトポトと滴り落ちている。
その下に水溜めが作ってある。深さ約10cm、広さ60cm四方くらいである。
滴り落ちる水をボトルで受けるとずいぶん時間がかかりそうなので、水溜めにボト
ルを沈めて汲んだ。            
この雨だから水量はある、と思っていたが意外に少なかった。少し好天が続けば、
涸れてしまうのではと思った。          
(ネット情報では、8月に行った人は水が涸れており、千丈平まで汲みに行ったそ
うです。)              
すぐ近くにもう一箇所、同じような水場がある。こちらは、セメントで作った風呂
桶くらいの大きさの入れ物に流れ込むようにしてあり、簾のようなもので蓋をして
ある。蓋を開けて見ると、苔か水垢のようなものがびっしり、そのまま飲む気には
なれなかった。              
小屋へ帰ると、もう一人到着していた。時間は16時前、80リットルはありそう
な大きなザックである。            
今日は4人が同宿だ。それぞれの場所を確保して夕食を済ませ情報交換。  
4人とも熊野本宮を目指している。          
そして、3人は、昨夜、行者還の小屋で同宿であった、明日は行仙宿まで行くとの
こと。                
3人はどう見ても30歳くらいまで。私の半分だ。彼らの時間は参考にならない。
でも、ここから先は同じく2泊3日でゴールだ。        
そんな話も終わって全員就寝。          
しばらくすると、ドアが開き一人到着。        
時間は18時30分過ぎ。弥山小屋からだそうだ。相当疲れている感じである。
もう一人分の寝床を作る。            
雨風はますます激しくなる。警報が出てもよさそうな激しさだ。    
夜中になんだか変だな、と思ってシュラフをさわると濡れている。私の寝ていた場
所は雨漏りしていた。            
緊急措置として、ツエルトをシュラフの上にかけた。      
そして、ウイスキーを少し飲んで寝た。        

                         (橡の鼻)

 

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