はやちね

早池峰

2008/7/10 (曇り)                                                      崎田信義(記)

 大阪・伊丹空港〜いわて花巻空港→(知人宅泊)→(車で花巻市大迫町河原の坊へ移動)
 早池峰(山) 1917m 

 山頂に避難小屋がある

 河原の坊・駐車場→小田越登山口→山頂→コメガモリ沢→河原の坊
 河原の坊・駐車場 =08:15出発(40分)小田越登山口・休憩5分(150)山頂・昼食40分
              (130)河原の坊 =14:20着
       
    
 北上山地は馴染みないが、ハヤチネの響きは百名山を知った頃から記憶に残り、ハヤチネウスユキソウ
の花は日本のエーデルワイスとも言われ、益々興味がつのる山だった。知人の別邸に泊めてもらい、3人
で曇天の山に向かった。

 小田越〜山頂〜河原坊の行程の9割超が岩径で想像した以上の岩峰だった。 しかし旬の花々が咲き
乱れ、霧に閉ざされた山頂のお花畑は見事で、登りの多汗を補っても余りある山容だった。

ハヤチネウスユキソウ

 

<小田越登山口>

 盛岡方面から車で国道を南下、狭い県道25号線で峠を越え、花巻市大迫(おおはさま)
河原の坊まで進んだ。シーズン中の土日は手前の岳部落でシャトルバスに乗換えることに
なるそうだ。携帯トイレを持参しての登山も要求されており、貴重な自然を守る規制がある。

 駐車場にはマイクロバスの他10台くらいが停まっている、鹿児島、尾張小牧、高崎など
のプレートもあり、遠路から名山に集っている様子。 下りはここに戻る事にして、2キロ先
の小田越登山口に向かう。遠野市内へ続く舗装道路をゆっくりと進む、霧深い路の脇には
笹に混じってミヤマオダマキ、ハクサンチドリなどが観える。

 峠付近に監視員詰所があり、石碑が建つ登山口をくぐる。木道を30分も進むと大きな
岩径になり、両脇のロープで進入を防いでいる。重なりあった岩やザレ場がつづき、霧の
先に大きな岩壁が見える。山頂かなとも見えるが、こんなに早く窺えるわけもないと話し
ながら進む。

 樹林帯を過ぎるとハイマツになり、径の脇や岩の間に青紫のミヤマオダマキが現れる。
舗装道で見た紫色の種とは違い、青紫色の花に新鮮な感動を覚える。しかも数本だけ
ではなく、あちこち無数に咲いている、とうとう下り終わるまでこの花と一緒だった。

      

小田越登山口

ミヤマオダマキ

 

<山頂のお花畑>

 五合目に御金蔵という奇岩があり、お祈りに奉ったお札もある。漸く霧の合間に山頂
が確認できる、程なく鉄ハシゴのかかった斜めの岩壁をよじ登る。 この山稜は蛇紋岩
という岩峰でマグマが噴出することなく隆起して固まったそうだ。雨に濡れると滑り易く
危ないのでハシゴも助かる。

 ここだけに生える早池峰ウスユキソウは花芯の外にある真っ白な綿毛が特徴らしい。
満開までには少し日数が要るのか、二分咲き程度の花が多い。重そうな機材を構える
カメラマンもいて希少価値が高まる。

 剣ケ峰へ分岐する尾根筋に着き、西へ辿ると木道が敷設してある。両脇は様々な旬
の花が咲き、お花畑のある頂上も珍しい。数年前の同時期には白いコバイケイソウが
一面に観れたそうだが今季は数本のみ、チングルマ、ヨツバシオガマ、ミヤマオダマキ
等などが均等に咲き誇っていた。

   

ハヤチネウスユキソウ

チングルマ、イワカガミ

キバナノコマノツメ

ミヤマアズマギク

ヨツバシオガマ

ハイマツの他多種類

蛇紋岩、ミヤマオダマキ、早池峰ウスユキソウ

ナンブトラノオ (絶滅危惧種)

 

<河原の坊へ>

 山頂は広くて避難小屋と早池峰神社奥宮があり、数人が座っていた。我々も社の前
で昼食を摂る。薄日がさしてきて”花のはやちね”をライトアップした。

 千丈ケ岩、打石と呼ばれる奇岩を側に見て慎重に降りる。 登りと違いガレた石ころ
径は滑ると危ない、沢が一望できるなだらかな下りがつづく。一時間位降りたら沢沿い
の径になるが、大小の岩や石ころが緊張を強いる。

 やや平坦な径になり、沢の音も大きくなり出発地点に近づく。木々の間に赤い屋根と
も見えたが、側に行くと満開のシャクナゲだった。今季は比良山・滋賀県での石楠花を
見逃したが、この山はたくさんのお宝を用意していた。

   

剣ケ峰への分岐

ハクサンシャクナゲ

山頂の早池峰神社奥宮

河原の坊登山口から山頂を遠望

 

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