りしりだけ

利尻岳

2008/6/26                                                          崎田信義(記)

 大阪・伊丹空港→羽田乗継→稚内空港→稚内港〜(フェリー)〜鴛泊港/オシドマリコウ
 利尻岳・北峰 1719m (南峰1721m)

 避難小屋が九合目下にある (鴛泊の民宿:マルゼン、 稚内の国民宿舎:氷雪荘

 北麓野営場→三合目→第一見晴台(六合目)→長官山(八合目)→北峰・山頂→(往路を下山)
 北麓野営場 04:05出発(10分)甘露泉水(30)四合目(70)六合目(80)八合目・休憩20分(60)九合目
 (70)山頂・昼食45分(20)沓形分岐(70)八合目・休憩20分(140)三合目(20) 北麓野営場15:00着

 

麓から3:10、山頂までは更に2:10を要した

 

 北の秀峰・利尻岳を踏破しようと2ケ月前に航路、宿を予約した。 ハイシーズンには人も多くなると予想して
6月4週を選んだ。 帰路には礼文島、サロベツ原野、宗谷岬にも立寄るという欲張ったプランだ。稚内港から
100分の船旅で初めて利尻島に降り立った。

 翌日4時に民宿の車で北麓野営場まで運んでもらい、11時間弱の行程を往復した。 沓形コースは当局か
ら登山禁止の警報があるとかで、今回は断念した。 海抜1719mとは思えないコニーデ型の「利尻富士」は
とてつもない山だった。


稚内行き飛行機から

礼文島行きフェリーから

 

<利尻富士町>

 この島は稚内の南西に浮かぶ、周囲63Kmほどの円形の島で、広い裾野を擁し一島一山
の景観がピッタリする。島の西半分は利尻町で、屋久島よりやや小さいが二町制は同じだ。

 最終のフェリーにUさんと乗り込む、翌日の軽食を備える必要から、売店で島にコンビニが
あるかを尋ねた。恐らく無いだろうとの返事、そんなに過疎なのかと諦めがよぎる。夕方5:10
鴛泊港に着き、迎えの人に挨拶を交わす、大袈裟だが日本語が通じて安堵する。日本最北
の礼文島、利尻島の市街には店もホテルもあり、離島イメージとは違った観光地だった。

         

 

鴛泊港・ペシ岬から

北麓野営場が登山口

 

<上り>

 早朝に起き、昨夜求めたカップラーメンやパンを食べて腹ごしらえ、4時には登山口となる
北麓野営場に行く。テント場があり、既に数名が出発した様子、軽く体操をして冷気が残る
路を歩き始める。

 程なく”甘露泉水”に至る、周りは枯れているがここだけは冷たい湧き水が出ている。この
島の名物に天然水があり、雪融け水が地下に伏流して30年もかけて海岸や海底からも湧
きだしてるそうだ。

 4合目付近までは高い樹木が茂り、空気も心地良かったが、その先からは曲がりくねった
ダケカンバの低木が頭上を覆い周囲が見えない処もある。 足元は石がころころ、ゴッツン
と枝が頭をこする。 尾根筋に出ると長官山が目に入る、休憩ポイントにして20分ほど腰を
下ろす。正面に山頂が見えるが、これから2時間もかかるらしい。
 緑の山肌に白い雪渓がアクセントを残し、圧倒的な山容が疲れを癒してくれる。どの山で
も同じように、目指す先にある山頂は気高く映る。

 尾根筋にある避難小屋辺りからお花畑がつづく、息が荒くなるジグザグ路の側に黄色や
紫色の花が乱立する場所もある。 清楚な白い”ハクサンイチゲ”がひときわ目立つ。日本
アルプスよりも高緯度にあるので、種類の違う高嶺の花を満喫できた。

 9合目にはトイレブースもあり、その先がザレ場になるので、十分注意するようにとの看板。
沓形コースへの分岐を過ぎると赤茶けた火山性の砂利径になり、ロープも張ってある。西側
は大きく崩落して危険なため、ロープよりも外に出ないとの注意箇所もある。
 思わず足が引きづられ進まない、えぐれた狭い径を登り詰めると漸く山頂が見える処に出
る。左右が深く切れ込んだ尾根を辿り山頂に着いた。

         

 

三合目(午後撮影)

四合目

六合目

八合目(長官山)

九合目

沓形コース分岐(9合目半付近)

 

<山頂>

 仰ぎ見た山頂には小さな祠があり、数人が写真を撮ったり休んだりしている。北峰が今回
の終点で、南峰は危険で歩行禁止のロープがある。360度遮るものが無く、遥かに海まで
裾野が広がり頂点に立った感激がわく。 西に立つ”ローソク岩”は到底辿れない岩峰だが、
風雪に耐え残雪を抱えた姿に見とれる。利尻岳を守護するかのような屹立してる。

 対岸の北海道、日本海、北の礼文島など晴天下の眺望は値千金、いやそれ以上だった。
朝の雲海も消え去り、直射日光がまぶしくなる。緑なす山容は関西の5月頃に相当し、鶯の
鳴き声も盛りだ。早めの昼食を摂り10:30に下山を始める。

         

 

山頂の祠

ザレ場の先に山頂(北峰)

高度感たっぷりのローソク岩(利尻町の海岸も眺望)

南峰はロープで禁止

下りの八合目から

 

<下り>

 砂利路を上ってきたが、下りでは難路にもなる。早速に足を取られて尻もちをついた。Uさん
によれば富士山の須走みたいだと言う。9合目まではストックを頼りに慎重に下る場所もあり
そこで一休み、トイレブースで持参した袋で用を足す。

 ここからは長官山、緑ゆたかなポン山、洋上の礼文島が俯瞰できる。市街地や飛行場も見
え、正午のサイレンやフェリーの警笛までが届く。眼下の山と海の景観は鳥になった気分だ。

 再度8合目で20分の休憩、脚を休める。この先の低木を抜けるには腰を曲げる場所も多い。
ストックの先に付けたゴムキャップがいつの間にか外れ、径の脇を突かないように歩く。環境
保全の為にトイレやストックの使い方には注意事項がある。

 くねくねの低木、真っすぐな高木を抜けて、水場に着く。冷水で顔を拭き、互いに無事故を称
える。宿に電話をして迎えに来てもらい、利尻富士温泉で汗を流した。

 山の大きさを大雑把に歩行時間で測るとすれば、この山容は正味9時間30分で日帰り低山
の二回分に相等する。標高差は1499mあり、垂直は3キロだが走行距離は12キロもある。
 (因みに平均勾配は15度に相等する)
                     

九合目付近の高山植物

ゴゼンタチバナ

ミヤマアズマギク

ボタンキンバイ

チシマフウロ

イワベンケイ

ウコンウツギ

 

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