やけだけ

焼岳

2008/8/3                                                          崎田信義(記)

 大阪→名神・東海北陸道・飛騨清見IC→国道158号線→平湯峠→畳平→安房(あぼう)トンネル→中の湯
 焼岳・北峰 2444m (南峰2455m 登山禁止中)

 焼岳小屋が新中尾峠にある

 帝国ホテル前→登山口→新中尾峠→展望台→北峰・山頂→新中の湯ルート→中の湯温泉旅館
 田代橋 06:30出発(155分)焼岳小屋・休憩10分(10)展望台・休憩10分(55)鞍部・休憩15分(10)
 山頂10分(10)鞍部・昼食25分(140) 中の湯温泉旅館14:00着

 

活火山・焼岳

   毎日猛暑が続くこの夏だが、メンバー10名で乗鞍岳・焼岳登山に挑んだ。上高地は
  シーズンの賑わいがあちこちで見られたが、温泉旅館にはクーラーも不要で涼しい夏
  もあじわった。
   田代橋から上り詰め4時間で山頂下の鞍部に着き、ガスを噴出するお釜の側を通り
  山頂に届いた。日本アルプス唯一の活火山・焼岳は山稜も険しく瑠璃色の火口湖は
  神秘的に見え、360度北アルプスを見渡せる絶景に汗も忘れた。

槍、穂高(雲に覆われている)の眺望

 

<雷鳥>

 乗鞍岳畳平に午後2時前着き、駐車場前に聳える富士見岳とお花畑散策に出かける。
鶴ケ池の歩道に入ると一斉にカメラを向けている、主役は雷鳥親子だった。 5羽くらい
の子を勢子みたいに追いたてて歩道を横断中だ、池とは反対のハイマツに入って行く。
自然環境が悪くなる中、子育てに奮闘してる健気な親鳥の姿には感動した。

 

雷鳥親子

不消(きえず)ケ池 (右の北側がお花畑)

 

<乗鞍お花畑>

 富士見岳の下には不消ケ池があり、山すそから大きな雪渓が突き出ている。 飲料水に
利用してるとか、小さな堰から溢れた水がその下流に広がるお花畑をうるおしているようだ。
木道が敷かれ人が踏み入れないよう工夫されている。

 一周10分ほどの遊歩道を見渡せばハクサンイチゲが白く映える。よく見れば旬の花々が咲
きクロユリはあの特徴のある香りを漂わせている。ガレ場にはコマクサもあり、チングルマや
ミヤマシオガマなど夏の高山植物が勢ぞろい、花の展覧場だった。


  北アルプス乗鞍岳のお花畑・スライドショーです。  イワギキョウ、コマクサ、イワツメクサ、アオノツガザクラ
 チングルマ、コイワカガミ、ハクサンイチゲX2、クロユリX2、ミヤマシオガマ 等が連続循環します。(08/8/2)

[自動]をクリックすると12秒毎に11画像が循環、[次へ]を押せば時間に依らず遷移、[停止]を押せば復帰します。

(注)自動で取込中の画像が切れる場合や手動では、画像毎に[次へ]を押せば回線速度に依らず取込み可能です。


 

<中の湯>

 飛騨側から4.4キロの安房トンネルを抜けると信州側に出る、今でこそ車でスムーズに
行けるが火山地帯の下を掘る難工事だったと言う。平成7年2月には中ノ湯側の道路工事
で火山性ガスを含む水蒸気爆発事故が起き人命も巻き込まれた。釜トンネルそばの梓川
対岸にあった「中の湯温泉旅館」も被害を受け、平成10年に現在の地に移築されたそうだ。
同館の入り口には自然林を切取った事にもふれた碑が立っている。

 夕方に同館へ着き早速露天風呂に入る。 穂高連峰の東半分、明神岳や前穂高が眺望
できる。標高1530mもあるそうで、目前の霞沢岳2646mに手が届きそうにも見える。(実際
は上高地バスターミナルからの日帰りも難しい険しい山稜)
 温泉に浸り、絶景を眺めながらアレコレ次の山行きを思案する至福の時である。 焼岳の
登山を前に、夕食に地酒をプラスして仲間と早々に乾杯を交わしてやすんだ。

 

   

焼岳の溶岩ドーム(展望台から)

焼岳山頂(最新版では2444m)

ライオンにも似た溶岩石

山頂へはお釜の脇を上がる

 

 

<焼岳>

 5時起きで朝食のオニギリをほうばり、昼食のオニギリや水をザックに詰めて同館のバスで
帝国ホテル前まで送ってもらう。雨の心配はないが午後からの雷が気になる。
 上高地散策組は別行動になり、七名が田代橋の側で柔軟体操、焼岳小屋までは登りだけ
の一本道だ。シーズン中とあって早朝から団体組や個人など10パーティーくらいが前後して
進む。

 梯子や小さな鎖場をつめ、足元が峠沢へ切れ込む辺りに来ると異様な山容が目の前に現
れる。 上はガスってるが角ばった岩峰だ、噴気ガスは見えないが生きてる山の姿は不気味
にも感じられる。最後の長い垂直梯子下は順番待ちもできるほどだが、慎重に上るとなだら
かな草木の中の径に変る。 ほどなく新中尾峠にある焼岳小屋に着く、トイレ休憩をして最後
の登りに向かった。

 小屋から10分位で展望台との標識が立つ場所に上がった。 西に笠ケ岳、北に穂高連峰
東に霞沢岳、南には山頂がぐっと近づいた。 さらには大正池と赤い建物の帝国ホテルが
俯瞰できる。 やや雲が多くてすっきりとは見えないが、北アルプスの中心に立つた感激が
湧いてくる。この先は一気に中尾峠まで下るが樹も草もないので、山頂目指して登る人の姿
が見えてきた。いよいよ最後のガレた岩径を一時間上ることになる。

 赤茶けた岩が直進を阻み、火山特有の砂利に足を取られる。ジグザグ径と暑さに何度も
ため息が出る。 突然上から小石がハイスピードで落ちて来る、思わず足を止めてコースを
確かめる、自分の右足に向かってくる、瞬時に足を上げて難を避けた。しかし下に続く仲間
も危ういコースにいる、「らくっ−!(落石だよ)」と大声で叫ぶ、幸い仲間にも当らず落ちて
行った。 上にいる当事者に「ラクッ−と言わんかい!」と怒鳴りつける、人が多いとマナー
も薄れてくる。

 溶岩ドームが空を圧倒するような地点に上がってきた、ライオンの首みたいな大岩を見て
一息ホットする。 やがて山頂下の鞍部に至り、仲間の到着を待って頂上へ上がる。
 勢いよくガスが噴出するお釜の口は黄色く、火山の胎動を物語る。 その横の窮屈な岩を
よじ登り山頂へ届いた。20〜30人くらいが狭い場所にひしめき、記念写真も順番待ちだ。
 全方位が見渡せるが雲が多くて観光写真にはならない、展望台では見えなかった槍ケ岳
も穂高の横に鋭角のピークが望めた。

 鞍部へ降りる人と上る人で混雑している、誰かが「らくっ!」と叫び事なきを得た。 鞍部に
戻って昼食を摂った。
 下りの新中の湯ルートは樹林帯までが一望でき、蟻の行列みたいに人が連なっている。
50名のツアーもいて細い径の上で交差した。 疲れと日差しが足を鈍らせる、このルートは
なだらかで歩き易いので助かる。やがて旧道の10号カーブ付近に降りた、大型バス数台が
お客を待っている。

 夏の岩山難路を予定よりも30分早く無事に踏破した。 互いの健脚をたたえて拍手・V
サインで締めた。

 

< 焼岳山頂の巖峰 >

旧火口

旧火口にある正賀池

 

 

南峰2455m

焼岳・南峰(三角点があるが入山禁止

 

 

北峰・南壁

北峰の南壁を見上げる

 

 

岩峰ピーク

旧火口に屹立するピーク

   

(上の4画はマウスポインターを当てると拡大画像になり、上下左右のスライドはキーボードの矢印キーで微調整する)

club-tanu club-tanu club-tanu  紀行文・写真集 総合目次へ戻る club-tanu club-tanu club-tanu